2017年8月19日土曜日

観る年代で映画が変わる part 5 (椿三十郎)

鬼才クリストファー・ノーラン監督の作品「インセプション」では、夢の中の夢、
更にそのまた夢の中でのアクションシーンが展開されていましたが、
主人公(ディカプリオ)は、夢か現実かを常にを回しながら確認していました。

今回は夢の中の夢の話をしましょう。

お題は「夢の中で、本当に禁煙ができる料理を授かった男の話」

男は夢の中で禁煙料理のレシピを授りました。
起きてからスグに試してみる。
本当だ! タバコが吸えなくなっている。あんなに好きだった自分が、信じられない!

その噂は、またたく間に世間に広がっていった。
まず、マスメディアがテレビや新聞などで取り上げ、男はいっきに時の人となる。

大学の偉い先生達が何人も尋ねてきた。
製薬会社の担当者達が何人も権利を買いに来る。

男はインターネットやYouTubeで、レシピを無料公開した。
理不尽な値上げで、やめたいと思っている人達が沢山いる。
家庭料理程度で簡単に作れてしまうので、アッという間に全国規模で広まった。

たばこの売り上げは、みるみる落ち込んでいく。

財務省や厚労省の役人が、男の下へ調べに来る。
たばこ農家やJTが赤字となり、小さなたばこやさんが潰れだす。

そして、やがて国家財政の問題に発展していく。

連日ワイドショーでたばこの功罪が議論される中、JTは遂にたばこの値下げを発表する。
喫煙所が撤去され、タバコはどこでも自由に吸える様になる。

しかしもう、たばこを吸う人は誰もいない。
かつての粉末ジュースの様に、タバコは人々から忘れ去られていくのだろう。

子供手当の予算が底を打つ。国の対応は素早かった。
まず消費税をアップし、福祉を切り捨て、お酒を奨励した。
だがもう誰も、政治家や、学者や、マスメディアを信用しなくなってしまっていた。

幸か不幸か、健康な人が一気に増えたため、倒産する病院がでてくる。
そして、理屈に合わない健康保険料の値上げがささやかれだす。
製薬会社では、ワクチンの製造が危ぶまれるかも。

こんなことになるなんて!!

そこで夢が覚めた。

笑顔で、「あんた大阪でよかったな」「もう東京に行かれへんで
私「なんでや
妻「東京は全て禁煙や!」「小池さん偉いわ、私は応援するで」

を探す私・・・・・。

それでは、「椿三十郎」を紹介しましょう。

椿三十郎
製作年 : 1962年
製作国 : 日本
配給 : 東宝

監督黒澤明/原作:山本周五郎『日々平安』/脚本:菊島隆三/小国英雄/黒澤明
撮影:小泉福造/斎藤孝雄/美術:村木与四郎/音楽:佐藤勝

出演三船敏郎(椿三十郎)/仲代達矢(室戸半兵衛)/小林桂樹(見張りの侍)/加山雄三(井坂伊織)/団令子(千鳥 )/志村喬(黒藤(次席家老)/藤原釜足(竹林(国許用人)/入江たか子(睦田夫人)/清水将夫(菊井(大目付)/伊藤雄之助(睦田(城代家老)/田中邦衛 (保川邦衛)

(あらすじ)
深夜の社殿。9人の若侍が談義をしている。
首謀者の井坂は、次席家老と国許用人の汚職に関する意見書を叔父の城代家老に渡したがあっさりと破り捨てられ落胆したが、大目付の菊井はその話を真剣に聞き入れた経緯を、同志達に説明していた。
そして、その夜は、社殿で菊井と会うことになっていた。
すると、社殿の奥から一人の浪人が現れた。
若侍達の話しを聞いていたというその男は、皆が軽んじる城代家老こそ本物で、
大目付こそ黒幕ではないかと指摘する。半信半疑の若侍たちであったが、
社殿は既に、菊井の腹心である室戸半兵衛率いる兵に囲まれていた。
指摘はずぼしだった。どうにか浪人の助けで危機を脱したが、城代家老が危ない。
若侍達は男と一緒に城代家老の屋敷へと向かう。

予想通り、城代屋敷は菊井の手に落ち、城代家老睦田は連れ去られていた。
男の策で城代家老睦田の妻と娘を救い出した若侍達は、次席家老黒藤の屋敷の隣にある
若侍の一人、寺田の家に身を置いた。黒藤の屋敷は別名椿屋敷と呼ばれていた。
城代家老の夫人から名を聞かれたその男は、椿の花を眺めながら椿三十郎と名乗る。

はたして城代家老睦田を救い出せるのか、三十郎の知略と凄腕が・・・。

「用心棒」の続編的作品ですが、桑畑三十郎と比べると、椿三十郎は、より人間味があり、知略に長け、ユーモアのセンスも磨かれています。
原作は山本周五郎の『日日平安』ですが、脚本は気弱で腕もない主人公を、
腕の立つ浪人に置き換えて『椿三十郎』としています。
わずか40秒で30人を叩き斬るシーンや、ラストの仲代達矢扮する敵方の用心棒との
息を飲む一騎打ち、血が噴き出すシーンは度肝を抜かれます。


黒澤明監督は昭和29年の『七人の侍』を皮切りに時代劇にリアルさを求めています。
前年の『用心棒』、そして本作ではリアル志向がさらに強まり、立ち廻りの場面で、
刀がぶつかり肉が斬れる激しい効果音、飛び散る血飛沫が描かれています。
こういったリアルな描写は、敗戦までは日本当局によって、そして戦後はGHQによって
禁止され、検閲でカットされてきました。
黒澤明監督がこれを描いて以後、その手法を真似たチャンバラ映画が、
続出することとなりました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回は、"ジャンゴ" でお馴染みの「続荒野の用心棒」を紹介します。


0 件のコメント:

コメントを投稿