2017年11月29日水曜日

観る年代で映画が変わる Part 21(マダム・イン・ニューヨーク 原題 : ENGLISH VINGLISH)

月日のたつのは早いもので、今週末からもう12月です。


「あんた、うちのお姉ちゃん、柚子持ってきてくれたわ」
「どないしよ ?」  
     
     見ると小ぶりだが、段ボール箱いっぱいだ。
     黄色い実から良い香りを漂わせている。


ジャムにしたらええんとちゃう」

「そやな~、あんたネットで調べてくれへん?

    以前、国産レモンでジャムを作ったことがあった。
    その時も、ネットのレシピを見ながら作ったはずなのに、
    煮詰め過ぎで、レモンの皮が固くなってしまい大失敗だった。
    なにしろ、噛んだら、するめより硬くて歯が立たないのだからどうしようもない。
    今度こそ、失敗は許されない
    しばし、インターネットの検索に没頭する私・・・。

「これ、どや」
    プリンターで打ち出したA4用紙3枚のレシピ、しかも写真の解説付き

「大丈夫やろか、あんた口だけやからな」

「柑橘系のジャムは難しい、スーパーでもあんまり置いて無いやろ」
「自分で作るしか無いんとちゃう、トーストにぬっても、柚子茶にしても最高やで

そんな訳で、妻と一緒に柚子ジャムに挑戦することになりました。

以下は、その手順です。

柚子をきれいに水洗いをして、水をきっておく。
ボールの上にザルをのせ、半分に切った柚子を両手で絞る。(ボールに果汁、ザルに種)
絞り終えた柚子から、スプーンを使い中の白いワタを取り、ワタと皮とに分ける。
白いワタはざく切りにする。
皮を千切りにし、ひたひた水の鍋に入れて沸騰したら取り出す。これを3回繰り返す。
水を良く切った皮と、皮と同量の砂糖と、白いわたを鍋で混ぜる。
鍋を中火にかけ、アクが出てきたらすくい、沸騰したら、弱火にして10分で完成。

御覧のように、一見、いたって簡単に思えます。
ところが、実際は、思っていたよりも大変でした。

「柚子は、無駄がないと言うけど、ほんまやな

「あんた、ヘタだけは、ちゃんと取りや
手抜いたらあかんで!
「あんた、遅いな日暮れてまうわ
・・・・。
    そうこうしながら、ついに完成しました。

めちゃ旨いわ、あんたも食べてみ」



   皮も柔らかいし、味、香りともに、文句なしの出来栄えでした。
    明日から、朝のトーストが楽しみです。

それでは、インド映画「マダム・イン・ニューヨーク」を紹介します。

マダム・イン・ニューヨーク

原題 : ENGLISH VINGLISH
製作 : 2012年
製作国 : インド(ヒンディー語)






監督:ガウリ・シンデー/脚本:ガウリ・シンデー/撮影:ラクスマン・ウテカル/
音楽:アミット・トリヴェディ

出演:シュリデヴィ(シャシ)/アディル・フセイン(サティシュ)/メーディ・ネブー(ローラン)/
プリヤ・アーナンド(ラーダ)/アミターブ・バッチャン

(あらすじ)
主人公はインドではかなり裕福な中流家庭の主婦シャシ。
インド伝統のお菓子、ラドゥを作ることが唯一の楽しみで、
彼女のラドゥは近所でも評判、注文を受けて販売するほどの腕前です。

小生意気な娘と、甘ったれ息子の母親で、子育てと、家事に励む日々を送っていました。
夫にも献身的な彼女でしたが、
英語が話せないというコンプレックスを抱えていました。

娘からは、「ママは英語もできないくせに」と馬鹿にされ、
夫はパーティの席で妻のラドゥが褒められると、
「妻は菓子作りしかとりえがないので」と無神経な言葉。
家族のために頑張っているのに、主婦とは、家事をするのが当たり前、
料理がうまいのも当たり前という扱いに、徐々に自信を喪失し、
寂しさを募らせるシャシ。

そんなとき、ニューヨークの郊外に住む姉から、姪が結婚するので、
その披露宴の手伝いをしてほしいという依頼が。

たった一人では不安でしたが、やむなくシャシは家族より一足先に、
ニューヨークへと旅立ちます。

空港で、機内で、言葉が話せないために起きる様々なエピソード。
コンビニでは満足に欲しいものも注文できず、悲嘆にくれたその時、

目の前に停車したバスに書かれてある広告「4週間で英語が話せる」を目にします。

シャシは、英語学校に通うことを決心するのですが・・・。

そこには、不法入国したメキシコ人の主婦、タクシードライバーのパキスタン人、
無口な黒人、中国か韓国系の女性、そして、シャシをじっと見つめる
フランスの料理人、ローランが・・・。


映画を撮ったのは、39才の若き女性監督ガウリ・シンデー。
本作は、ひとりの主婦シャシのエピソードを通して、
実は今のインド社会全体の問題を描いています
いまでこそ公用語のヒンディー語と同等に英語が話されている教育先進国ですが、
女性が学校に通えるようになったのは90年代末です。
それまでは、いずれ嫁に出す娘を学校に通わせても意味がない、
女の子は弟妹の面倒をみたり家事の手伝いをするのが当然とされていました。
女性で学校に行けたのは、ごくいちぶの富裕層だけだったのです。

本作が長編デビューとなるガウリ・シンデー監督は、
英語が話せなかった自分の母親の姿をシャシに重ねています。
本作のメッセージはラストのシャシの英語スピーチに込められているのです。
とつとつとして

"夫婦と云うものはお互いが対等な立場で協力してやってほしい。
自分が相手から尊重されてないと感じるときは、相手を憎むのではなく、
自分に自信をつけて自分を好きになることです。
自分で自分を幸せにすることが大切だということを私は知りました・・・。"

シャシは、彼女にずっと好意、いや!それ以上の気持ちを抱いて見守ってくれた
フランス人コック、ローランに、
「あなたがいたから私は自信が持てたのよ。ありがとう」 感動!! 

主演シュリデヴィはインドの国民的女優で本作が15年ぶりの復帰作です。

英会話を勉強されている方には、ぜひお薦めの作品です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回もインド映画「ムトウ踊るマハラジャ」を紹介します。