2018年11月29日木曜日

観る年代で映画が変わる Part 36 (東京物語)

家の前のハナミズキ赤い実が、小鳥たちにすっかり食べられてしまい、そろそろ
冬の訪れを感じている今日この頃です。

11月24日、朝食後

ワ~やったー!やったー!
テレビを観ていた妻の突然の歓声

自分の部屋で調べ物をしている

「どないしたんや?」

あんた、知らんの? 大阪万博が決まったんや!
「今日が決戦投票の日やったんやでー、あんた、知らんかったやろ?」

「・・・・・」
「とにかく、めでたいことや」

やっぱり、知らんかったんや
誇らしげな、妻の顔

暗いニュースが続く中、久々の明るいニュースです。
大阪の街に、パッライトが照らされたような気分になりました。

2025年 大阪万博が決定、55年ぶり
BIE総会

【パリ=奥山美希、中川竹美】2025年国際博覧会(万博)の開催国を決める博覧会国際事務局(BIE)総会が23日、パリで開かれ、日本時間24日未明に行われた加盟各国の投票で日本(大阪)が選ばれた。大規模な万博としては05年の愛知以来で、大阪では1970年以来55年ぶりの開催となる。過去の万博の開催実績や運営能力の高さなどが評価され、3カ国による争いを制した。
2018/11/24 1:01 日本経済新聞

それでは、日本映画「東京物語」を紹介したいと思います。

東京物語

製作年 : 1953年
製作国 : 日本








監督:小津安二郎/脚本:野田高梧/小津安二郎/撮影:厚田雄春/美術:浜田辰雄/
衣裳:斎藤耐二/編集:浜村義康/音楽:斎藤高順

出演:笠智衆(りゅう・ちしゅう)(平山周吉)/東山千栄子(妻・とみ)/原節子(二男の嫁・紀子)/
杉村春子(長女・金子志げ)/山村聡(長男・平山幸一)/三宅邦子(妻・文子)/香川京子(二女・京子)/
東野英治郎(沼田三平)/中村伸郎(志げの夫・金子庫造)/大坂志郎(三男・平山敬三)/十朱久雄(服部修)/長岡輝子(妻・よね)/桜むつ子(おでん屋の女)/高橋豊子(隣家の細君)/三谷幸子(アパートの女)/
村瀬禪(平山実)/毛利充宏(平山勇)/三木隆(艶歌師)

あらすじ

1953年の夏、尾道で暮らす周吉とその妻のとみが東京に出掛ける。
東京で暮らしている子供たちに久方振りに会う為である。

しかし、長男の幸一も長女の志げも毎日の仕事に追われ、両親をかまってやれない。

二人に寂しい思いをさせまいと、戦死した次男の妻の紀子は、わざわざ仕事を休んで、
2人を東京名所の観光に連れて行く。

両親の世話に困った幸一と志げは、2人を熱海の旅館に宿泊させる。
しかし、その旅館は安価な若者向きの旅館で、2人は騒々しさになかなか眠れない。

翌日、熱海から早々に帰って来た2人に対し、志げはいい顔をしない。
居づらくなった2人は志げの家を後にする。

周吉は在京の旧友と久方振りに再会して酒を酌み交わし、とみは紀子の家に泊まる。

ここでとみは、戦死した夫を忘れて再婚するよう、紀子に強く勧めるのだった。

周吉は旧友に本音をぶちまけるほど泥酔する。
深夜、泥酔状態のところをお巡りさんに保護されて、志げの家に帰ってきてしまう。
そこで志げ夫婦の顰蹙を買う。

2人は、子供たちからはあまり温かく接してもらえなかったが、
それでも満足した表情を見せて尾道へ帰った。

ところが、両親が帰郷して数日もしないうちに、とみが危篤状態であるとの電報が
子供たちの元に届いた。

子供たちが尾道の実家に到着した翌日の未明に、とみは死去した。

幸一と志げは悲しみつつも、間もなくさばさばした乾いた表情を見せる。
とみの葬儀が終わった後、志げは次女の京子に、とみの形見の品をよこすよう催促する。そして志げは、とみよりも周吉が先に死ぬのが望ましかったと主張し、
幸一もそれに同調する。
紀子以外の子供たちは、葬儀が終わるとそそくさと帰って行った。

京子は憤慨するが、紀子は歳を取れば誰でも自分の生活が一番大切になるものだと
いって義兄姉をかばい、若い京子を静かに諭す。

紀子が東京に帰る前に、周吉は上京した際の紀子の優しさに感謝を表す。
そして紀子に再婚を勧める。ここで紀子は初めて、自分の苦悩を吐露する。
独身を通す自分の将来の不安がぬぐえないことを打ち明け、涙を流す。
紀子に、周吉は妻の形見の時計を与える。

小学校の教師である京子は、授業中の教室の窓から、
紀子を乗せて走り去る列車を見送る。


年老いた両親の一世一代の東京旅行を通じて、家族の絆、夫婦と子供、老いと死、
人間の一生、それらを冷徹な視線で描いた作品です。

今日の核家族化や高齢化社会による、さまざまな問題と相通ずる、
時代を超えた普遍的テーマーです。

ローポジションを多用し、カメラを固定して人物を撮る「小津調」と形容される
独自の演出技法で、家族を丁寧に描いています。

家族という共同体が幻想でしかない悲し過ぎる現実を、
独特の落ち着いた雰囲気でつづる。

小津安二郎監督の「東京物語」(一九五三年)は、世界中の映画監督や、批評家から
今日でも、最高の評価を得ています。

一生に一度は観て欲しい作品として、是非お勧めです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回は、再びインド映画「バーフ・バリ」を2回に分けて紹介したいと思います。