2018年4月12日木曜日

観る年代で映画が変わる part 29 (ダバング 大胆不敵 原題 : DABANGG)

桜もすっかり散ってしまい、家の前のハナミズキの木に白い花が咲きました。
ところが、なぜかしら、気温が不安定な今日この頃です。

まずは、最近の気になるニュースを勝手に取り上げてみました。

救命女性に土俵下りる指示 一連の対応に波紋も
大相撲の春巡業が4日、京都・舞鶴文化公園体育館で行われ、あいさつをしていた多々見良三舞鶴市長(67)が土俵の上で倒れた。スタッフや観客らが心臓マッサージなどを施したが、その中に含まれた女性に対して土俵から下りるようアナウンスがあった。場内アナウンス担当の若手行司が、周囲の観客にあおられて慌てて口走ってしまったという。市長は命に別条はないが、精密検査を受けるために舞鶴市内の病院に入院した。
以下省略
日刊スポーツ[2018年4月5日9時46分 ]

救命の女性看護師「なぜ」 大相撲の場内放送に疑問
京都府舞鶴市での大相撲春巡業で4日、市長が倒れた際、救命処置をした看護師の女性が土俵から下りるよう場内放送で促された問題で、女性が「人命救助をしているのに、なぜそういうことを言うのか」という趣旨の発言をしていたことが6日、一緒に救助に当たった市職員への取材で分かった。
以下省略
日本経済新聞[2018/4/6 12:30]

女性土俵問題 女性市長、土俵下から注文 宝塚巡業「相撲協会は変革の勇気を」
京都府舞鶴市の大相撲春巡業で市長が倒れ、救命処置の女性が土俵から下りるよう促された問題に絡み、別の巡業先の兵庫県宝塚市の中川智子市長(70)は6日、土俵上のあいさつが断られたとして「女性という理由でできないのは悔しい。変革する勇気も大事ではないか」と土俵下から述べ、日本相撲協会に注文を付けた。
以下省略
毎日新聞[2018年4月7日 東京朝刊]

最近の度重なる相撲協会の不祥事に、追い打ちをかけるような今回の出来事。
大相撲の土俵は古くから「女人禁制」とされていました。

その日、あいさつをしていた、多々見市長が突然倒れ、場内は騒然となりました。
その時、場内アナウンスを担当していた若手行司が、一部の観客から
「なぜ女性が土俵に上がっているんだ」と指摘され、慌てて
「女性は土俵から下りてください」と、好ましくないアナウンスを、
誤って複数回してしまったということが、本当らしいです。
これは、相撲の伝統が人命に勝ると言った大げさな話ではないように思います。

月亭可朝さん死去 カンカン帽姿での弾き語りが人気
カンカン帽姿で奏でるギター漫談で人気を集めた落語家の月亭可朝(つきてい・かちょう、本名・鈴木傑=すずき・まさる)さんが3月28日、急性肺線維症のため兵庫県内の病院で死去した。80歳。葬儀・告別式は近親者で行った。
 神奈川県生まれ。三代目林家染丸に入門。その後、桂米朝の預かり弟子になると、昭和43年に月亭可朝を名乗る。カンカン帽とメガネ、ちょびヒゲをトレードマークに、ギターを使った漫談で注目を集め、即興で作ったというコミックソング「嘆きのボイン」が
44年にレコード化されると、全国的なヒットとなった。
 その後、「夫婦でドンピシャ!」などテレビやラジオ番組で活躍する一方、参院選に2度立候補したが落選。平成20年にはストーカー行為で逮捕された。
 落語は端正な味わいで知られ、「算段の平兵衛」や「親子酒」などを得意とした。弟子に月亭八方さんら、孫弟子に月亭八光(はちみつ)さんや月亭方正(ほうせい)さんらがいる。
産経WEST[2018.4.9 17:00]

数十年前に、今は亡き父親と寄席に行ったことを思い出します。
カンカン帽姿の月亭可朝さんが、
「みんな、気楽にしてや」
と言って、ごろんと横になり、そのままの状態で漫談を始めました。

「一夫多妻制の確立と、風呂屋の男湯と女湯の仕切を外すこと」を公約として、
1971年、第9回参議院議員通常選挙で全国区より無所属で立候補し、落選
選挙戦では、選挙カーを高速道路で走りながら演説していたそうです。
型破りで面白い、昭和の芸人が、また一人いなくなってしまうのがとても残念です。

そこで、勝手に月亭可朝さんへ「こばなし」をオマージュとして捧げたいと思います。

お題は「銭湯」

A君は、今年に成人式を迎えたばかりの20才。
看護師の資格を取り、人命救助という自分の仕事に誇りを持っている、
正義感あふれる、好青年です。
そんな彼の楽しみの一つが銭湯。
一日の汗を流し、ゆっくりと湯船に浸かる。
その日も、彼が湯船に浸かっていると、
女湯の方から、
「大変や!」「倒れてる」「息してないのとちゃう」
といったの声が飛び込んできました。
番台のおかみさんが、
「誰か、救命資格を持っている人はいませんか!」
と、叫んでいる。
A君は、僕や!
今は、一刻を争う緊急事態や! 
彼は、湯船から飛び出し、番台を横切り、そこへ駆けつける。
そして、ひたすら心臓マッサージに専念する。
その甲斐あってか、尊い人命が救われたのでした。
その時、彼はハッと気づきました。自分が素っ裸なのに。
ところが、まわりの女性たちは、彼に笑顔で拍手を送っているではありませんか。

そこに駆けつけた某放送局の記者からインタビューを受けた主婦(39才)

記者「彼をどう思いますか」
主婦「彼のは、立派でしたわ」

ジャ ジャ~ン(ギター音)
これが ホンマの 仕切りを外すことやおまへんか~

月亭可朝さんへご冥福をお祈り申し上げます。


「あんた、これ、今回の相撲騒動をネタにしたやろ」
「よう、こんな、作り話、考えるな」
「でも、的を得てるような気もするわ
「つまり、中川市長も、お相撲さんと同じ格好で土俵に上がったら、ということ?」

「事実が真実とは限らない、嘘の嘘は本当なのだ~

「わけわからんわー、あんたアホか」

それでは、インド映画「ダバング 大胆不敵」を紹介します。

ダバング 大胆不敵



原題 :  DABANGG (意味:恐れ知らず)
製作 :  2010年
製作国 : インド(ヒンディー語)





監督:アビナフ・シン・カシュヤップ/脚本:ディリープ・シュクラー/
音楽:サージド・アリー/ワージド・アリー/ラリト・パンディト

出演:サルマーン・カーン(チュルブル)/アルバーズ・カーン(マカンチャンド)/
ソーナークシー・シンハー(ラッジョー)/ソーヌー・スード(チェーディー・スィン)/
マラーイカー・アローラー・カーン

(あらすじ)
トロピカルカラーグラディションのタイトルがファとした感じで流れ、
右下に点滅表示の文字を残したまま画面が変わる。

朝日を背に、全体がセピア色に映し出される橋の架かった風景、
ウッタル・プラデーシュ州ラールガンジ。

森を二人の子供が駆けている。
「マッキー この世で最も甘い物は?」
マッキーが「 マンゴー」と答えると、
「賭けてもいい 将来 この村は一面のサトウキビ畑だ」
マッキーが「まさか、パパの土地だろ 将来は僕が継いでる」
「バカな 財産は2人で継ぐんだ」

場面が変わり、子供と母親。
母親が「パンデーさんは息子を分け隔てしない」と言うと
「実の子はマッキーだけ 連れ子の僕には雑用ばかり」
母親「こらえなさい 2歳の時 お前の父さんは死んだ 女手一つで育てていくのは大変だった あの人は母さんと結婚し お前を養子に迎えてくれた」

再度場面が変わり、父親とマッキー、そして占い師が、
「マッキーはいい星の下に生まれている 商売をさせるといい」

再度場面が変わり、母親が子供に、
「マッキーは弱いんだ 頭も悪い 勉強もしない でも私がお腹を痛めて産んだ子だ お前の兄弟だよ」
子供が「半兄弟だ」、子供の名はチュルブル。
チュルブルは、マッキーと父親を呪った巻物を藁の束に突っ込み輪切りに裁断。

それがアップで映し出され、"21 years later"の文字。

チュルブルは悪党から大金をせしめる汚職警官。
だがその真の姿は弱者を守る正義の男ロビンフッド・パンデー。

ある日、ラッジョーという美女に一目惚れ、結婚して欲しいと猛アタックを開始するが、
彼女にはアル中の父親がいた。
父を放っては一緒にはなれない・・・と頑なに拒むラッジョー。

そんな中、チュルブルに阻まれ続けてきた悪徳実業家チェーディー・スィンが、
弟マッキーを利用して彼の抹殺を企てていた…。


雑ではないが荒削りの編集、説明不足のストーリー、早すぎる展開と多少クレームを付けたい所だが、アクションに絡んでの笑いあり、涙あり、ロマンスあり、そして一級品の音楽とダンスは文句なしです。

典型的な復讐劇のプロットですが、単なる復讐劇ではなく、主人公チュルブルと、母、兄弟、継父との繋がり、特に継父との確執が中心にあり、作品の深みを感じます。

本作の魅力の中心は、サルマーン・カーン演じるチュルブルの人格です。
ロビンフット・パンデーを名乗ってはいるが、悪党から押収した金を平気でネコババする
チョイ悪、一目ぼれしたラッジョーにはぶっきら棒だがスタイリッシュな言動、こだわりのアクション、部下から慕われ、戦えば無敵。

サルマーン・カーンは、シャールク・カーン、アーミル・カーンと並び、ボリウッドの「3カーン」と呼ばれていますが、独特のカリスマ性を持ち、特異な存在です。
本作は彼の演技力をフルに発揮するシーンが随所に、特に父親と和解するシーンが素晴らしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回も再び好評のインド映画の紹介をしたいと思います